歌枕

歌枕 あなたの知らない心の風景

2022年6月29日〜8月28日

サントリー美術館

 

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「どうしたらそこへいけるのだろうか」

今のように自由に旅を楽しむことなど出来なかった昔の人は、和歌に詠まれた日本の名所に憧れを抱いて、絵画などにもその風景を描きました。

その風景を思い浮かべるだけで、あこがれのその場所へ行ったような気分になったのでしょう。

いつしかそれは「歌枕」と呼ばれ、それが描かれているだけで特定の場所を表しているとされました。

たとえば、紅葉

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「吉野龍田図」六曲一双のうち左隻

江戸時代 17世紀 根津美術館

 

たとえば、桜

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「吉野龍田図」六曲一双のうち右隻

江戸時代 17世紀 根津美術館

 

画面下に描かれた川が二つの屏風に繋がりを見せています。川に落ちる紅葉と桜の花びら。

紅葉は龍田川、桜は吉野山

 

 

では、これはどうでしょう

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六局一双のうち左隻


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六曲一双のうち右隻

 

こちらは「武蔵野図屏風」江戸時代 17世紀 サントリー美術館

 

ススキが生い茂る原野

左隻には富士山

右隻には地平線ギリギリのところに満月

江戸時代の埼玉県あたりは、こんな風景だったんですね〜

 

「奥之細道図」(部分)与謝蕪村 1778年

京都国立博物館 @重要文化財

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与謝蕪村が「奥の細道」を全文書き写して、挿絵を加えた巻物。さすが、与謝蕪村。さらさらっと描いた絵がとっても味があります。

文字もとっても読みやすい(と、思う)

自分には読めないけど、読める人にはきっと読みやすいんだろうなぁって思える、そんな文字。

ここに描かれている多賀城碑は、宮城県多賀城市にある奈良時代の石碑で重要文化財Wikipediaに、この石碑の画像が載っています。奈良時代の石碑を与謝蕪村が描いて、それを令和の私たちが見ていて、その石碑が現在も残っている・・・なんて、すごい!

 

 

そして、今回、唯一撮影OKだった作品

「野々宮蒔絵硯箱」

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源氏物語」から

娘の斎宮と伊勢へ下るため嵯峨の野々宮に滞在していた六条御息所を訪ねた光源氏

野々宮の黒木の鳥居が描かれています。

この黒木の鳥居は、嵯峨の歌枕になったそうです。

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細かい細工が美しいですね〜

 

雅な日本文化を楽しみました〜

 

それにしても・・・

数年前に吉野の桜を見に行こうと思って京都まで行って、吉野へ行く日の朝、突然吐き気に襲われて、ホテルで教えてもらった京都駅近くの病院へ駆け込み、点滴をしてもらって、泣く泣く東京へ帰ってきたのは、一生の不覚。

 

そのうちリベンジするぞ〜d( ̄  ̄)