「シャセリオー展」
19世紀フランス・ロマン主義の異才
2017年2月28日~5月28日
シャセリオーって、日本ではそれほど知名度高くないんじゃないかな~と思うんですけど。
実は私もよく知らなかったんですが。
シャセリオーは11歳であのアングルに入門を許されて「この子はやがて絵画界のナポレオンになる」と言わしめた早熟の天才だそうです。(チラシより抜粋)
シャセリオー16歳のときの「自画像」
16歳にして、この完成度。
「シャセリオーは、容姿に恵まれてなかった」
って解説にあったけど、知的な雰囲気があって、なかなか素敵な人じゃん?
アングルといえば新古典主義。
陶器のような肌の女性の絵で知られます。
シャセリオーは新古典主義から、やがて独自の作品世界を築いていったそうです。
音声ガイドは山田五郎さん。
BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」を見ていると、五郎さんの知識の多さに驚きます。
そんな五郎さんの音声ガイド、借りたかったけどあまり時間もないので今回は見送りました。が、あとで後悔することに・・・
「アポロンとダフネ」
ギリシャ神話
アポロンにからかわれたエロス(キューピッド)は、アポロンに金の矢を、ニンフのダフネに鉛の矢を放ちました。
金の矢は、相手に恋い焦がれる恋の矢
鉛の矢は、相手を疎ましく思う拒絶の矢
アポロンはダフネに恋い焦がれ、執拗に追い回します。
ダフネはアポロンを嫌がり、どこまでも逃げていきます。
逃げるのに疲れ果てたダフネは、川の神である自分の父親に「美しすぎる自分の姿を違うものに変えて欲しい」と懇願します。
娘の願いを聞き届けた父は、ダフネを月桂樹の木に変身させました。
シャセリオーの絵は、今まさにダフネが月桂樹に変身するところ。
足の部分がすでに木の幹になっています。
アポロンが愛するダフネに触れたとたん、ダフネは動かなくなり月桂樹に変身する劇的なシーンです。
「アポロンとダフネ」では、ベルニーニの彫刻が大好きです。
《参考》
ダフネの指先もすでに枝になっています。
これが彫刻だとは、本当に驚きます。
新古典主義から離れたシャセリオーは、ロマン主義を経てやがてオリエンタリズムへと移っていきます。
そして、ギュスターヴ・モローやシャヴァンヌらに影響を与えましたが、1856年に37歳で急逝したそうです。
今回は110点ほどの展示で、通常の美術展からすると少々少なめに感じます。でも、これくらいでちょうどいいですね。
これほどサクッと鑑賞できるのであれば、五郎さんの音声ガイドも十分楽しめたはず。
やっぱり借りればよかったと、あとから後悔したわけです。
シャセリオーのまとまった作品を見たのは初めてでしたが、どれも素敵な作品ばかりでした。
音声ガイドを借りて、ぜひもう一度行きたいと思います。