「奇想の系譜展」
江戸絵画ミラクルワールド
2019年2月9日〜2019年4月7日
数年前から伊藤若冲ブームが巻き起こって、2016年の東京都美術館での「若冲展」では毎日のように長蛇の列ができていたのは記憶に新しいところ。
↓そのときの記事です
http://harupinruu.hatenablog.com/entry/2016/05/18/175552
事の起こりは、美術史家の辻惟雄(つじのぶお)さんが、それまであまり紹介されたことのなかった江戸時代の画家の絵画の数々を「奇想の系譜」という著書で紹介したことでした。それから半世紀近くたった現在、奇想の画家たちはますます人気を集めています。
岩佐又兵衛・・・浮世絵の開祖と呼ばれている絵師
伊藤若冲・・・1000年後に自分の絵は理解されると豪語
曾我蕭白(そがしょうはく)・・・奇怪な人を演じてた?
長沢蘆雪(ながさわろせつ)・・・師匠の円山応挙の目の届かないところで自由に描いてた?
歌川国芳・・・3枚1組ワイド画面の浮世絵で人気に
「奇想の系譜」で紹介された以上の6人に
白隠慧鶴(はくいんえかく)、鈴木其一(すずききいつ)を加えて、奇想の画家8名の傑作が揃いました。
若冲の鯨と像の屏風など、何度か見たものもありましたが(何度見ても楽しい屏風だけど)
新たな発見もあって、見応えのある美術展でした。
「旭日鳳凰図」
やっぱり若冲はすごい。旭日に向かって羽を広げる鳳凰。切れ長の目。細かい羽の描写。なんでトサカはこんな形なんだろう・・・
左下の波と鳳凰のトサカが連動しているような動き。
家にりっぱな床の間なんてあったら、こういう若冲の掛け軸を飾りたいわ〜
そして
今回一番注目したのが、岩佐又兵衛です。
「山中常盤物語絵巻」
牛若丸(源義経)の母親、常盤御前が山中で盗賊に殺され、義経がその仇を討つという物語。
これは第四巻、常盤御前が盗賊に着物を奪われた場面。
単眼鏡を持って行って良かった(^^)v
もう、びっくりですよ。細かくて。
絵巻に描かれたたくさんの人の着物の柄、室内の調度品、建物の装飾、すべてが細かく細かく描かれています。それはもう、細かすぎるほど。
岩佐又兵衛、すげー
次に控えしは
国宝「洛中洛外図屏風 舟木本」
「洛中洛外図屏風」は、狩野永徳作品と言われる上杉本など、いくつかあるので、岩佐又兵衛のこれは滋賀の舟木家に伝来したということで舟木本と呼ばれています。
細かすぎて、もう見えません(@_@)
又兵衛は工房を構えて仕事をしていたらしいので、又兵衛自身の筆によるものはどれなのか分からないかもしれないけれど。それにしても、又兵衛の監督のもと製作されていたものに違いはありません。
たくさんの弟子を抱えて工房を営むところは、西洋も日本も同じですね。
見終わったあと売店で、ついうっかり岩佐又兵衛の本を買いそうになってしまいました。買わなかったけど。
若冲ブームの次は、誰が来るかなー?
まだまだ発掘されていない画家もいるんだろうなぁ〜なんて思いました。