4つのフェルメール展

2012年はフェルメール・イヤーと言われるくらい、フェルメール展がたくさんありました。
最近見に行った「マウリッツハイス美術館展」から遡って、思い出しながら書いてみたいと思います。

マウリッツハイス美術館展」
2012年6月30日〜9月17日 東京都美術館

混んでいるとは聞いていましたが、本当にすご〜く混んでました。
閉幕が近かったせいもあるのかも知れませんが、平日朝にもかかわらず超混雑。
見どころは何と言ってもフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」です。
真珠の耳飾りの少女」の部屋に入る直前で、ルートがふたつに分かれていました。
・最前列で見たい方・・・長蛇の列
・後方から見たい方・・・ぼちぼちの人数
迷わず、後方からの列に進みました。
それにしてもすごい人気です。人の頭の後ろからでしたが、なんとか見ることができました。
最前列で見たい方・・・の列の人たちは「立ち止まらないで進んでくださ〜い」と、係員から言われていました。パンダか!!

まあ、そんな大混雑のなか、印象に残った作品。
カレル・ファブリティウス「ごしきひわ」と、ヘラルト・テル・ボルフ「手紙を書く女」
「ごしきひわ」は地味な作品ながら、壁に映る影と金の止まり木の立体感がすばらしい。
ラファエロの作品で「ひわの聖母」というのがありますが、ひわはキリストの受難の象徴とされているそうです。

「手紙を書く女」フェルメールの作品でも手紙というテーマがたびたび出てきますが、この作品もフェルメールに勝るとも劣らない緻密な筆さばきで、静かな空気感が漂っています。熱心に手紙を書いている女性と、左側の織物の描写に惹かれます。

「ベルリン国立美術館展」
2012年6月13日〜9月17日
国立西洋美術館

仕事帰りの夜に行って来ました。
ちょっと駆け足で見たのが残念ではありますが、比較的すいていてゆったり見ることができました。
彫刻と絵画の展示で、けっこうなボリュームです。
ここでもフェルメールの作品「真珠の首飾りの少女」が見どころです。
左の窓から差し込むやわらかい光の中、真珠の首飾りを両手でそっと持ち上げ、鏡に見入る少女。
壁にかかった鏡が少し小さく高い位置にあるので、ちょっと見にくそう?
でも、なんとも言えないうっとりとした表情をしています。
フェルメールの作品によく登場する黄色い上着が、光に映えて黄金色に輝いています。

フェルメールからのラブレター展」
2011年12月23日〜2012年3月14日
Bunkamuraザ・ミュージアム

フェルメールの3作品で話題になりました。
修復が完成した「手紙を読む青衣の女」、「手紙を書く女」、「手紙を書く女と召使い」が一度に見ることができるなんて、すごいです。
フェルメール・ブルーが美しい「手紙を読む青衣の女」

手紙を書いていた手を休め、じっとこちら側を見つめる女性。少し何か言いたそうな「手紙を書く女」

一心に手紙を書く女性と、ちょっといらいらして手紙が書きあがるのを待っている召使い。召使いなのに態度がでかい!床のななめのタイルが部屋の奥行を感じさせる「手紙を書く女と召使い」

どの作品も、部屋の中にさす光が美しいです。部屋の中の暗い部分と明るい部分の対比がすばらしい。
それほど混雑していなかったので、ゆっくり見ることができました。















フェルメール光の王国展」
2012年1月20日〜7月22日
フェルメール・センター銀座

ちょっと、異質な美術展です。
フェルメール作品と認識されている全37作品を原寸大で複製(デジタルマスタリング技術)して、所蔵美術館と同じ額装を施して一堂に展示したものです。
年代順に作品が展示されていて、フェルメールの絵画の流れが認識できました。
小林薫さんと宮沢りえさんの音声ガイドも良くできてました。
フェルメール役の小林薫さんと、フェルメールの娘・エリザベス役の宮沢りえさんが語りかける構成です。
もちろん複製なのですが、まるで本物のようで、ゆっくり鑑賞することができました。

最後の3つの作品「ヴァージナル」のシリーズは、本当にこれがフェルメール作品かと思うほど精彩に欠けたものでした。デッサンもちょっと狂っているような・・・見ていてショック。小林薫さんのナレーションもなんだか悲しく感じました。
最盛期の「真珠の耳飾りの少女」「絵画芸術」からおよそ10年足らず後で、こんなふうになってしまうなんて。
一人の画家の一生を感じられて感動しました。
好評につき、第二弾が開催されているようですね。
まだ見ていない方、ニセモノだけど感動しますよ。ぜひ行ってみてください。
ニセモノだから撮影もOKです。