三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」
午前中に引き続いての英国美術です。
ラファエル前派から発展した象徴主義、さらに唯美主義へと向かった英国美術。
芸術はただ美しくあるために存在するべき、芸術のための芸術という観念が起こりました。絵画からデザイン、調度品、さらにはライフスタイルまで「美」を追求したのです。
フレディック・レイトン「パヴォニア」
唯美主義のモチーフのひとつに孔雀があります。
孔雀の羽の美しさは、芸術の一つとも思えますね。
この女性は、その孔雀の扇を広げ肩越しにこちらを見つめています。
濡れたようなうねりのある黒髪と、魅惑的な瞳と少し口角の上がった唇が印象的です。
髪につけた真珠と純白のブラウスも、彼女の美を際立たせています。
この美しい女性はローマ出身のモデルだそうです。
パヴォニアとは孔雀という意味だそうで、この絵のタイトルにぴったり。
美しい絵でした。
「ハウス・ビューティフル」
家の中にも「美」があふれました。
インテリアや生活様式も美しく、ただ美しくという精神が一般家庭にも浸透していったようです。
アンナ・アルマ・タデマ「タウンゼンドハウス応接間、1885年9月10日」
画家であるローレンス・アルマ・タデマの娘であるアンナが、ローレンスの自宅兼アトリエを描いたものだそうです。
飾り暖炉の上に展示されていた小さい作品でしたが、目を見張るものがありました。
天井の模様、カーテンの質感、床に映ったベッドや椅子の影。
カーテンのこちら側から覗いているような感覚。
解説を読んでびっくり。
アンナがこれを描いとき、17歳だったそうです。
17歳で、この完成度!
ちょっと背伸びしないと見れない位置だったので、もう少し近くで見たかった~
そして・・・
美しいものをいろいろ見てきた展覧会の一番最後に、私はやられました。
アルバート・ムーア「真夏」
強烈なオレンジ色。
古代ギリシア風の衣装をまとった美しい女性が3人。
真夏の暑さで、中央の女性は椅子に座ったまま眠っています。
銀色に輝く椅子にはマリーゴールドの花の環が飾られています。
なぜか足元に落ちた花ひとつ。
足を乗せた椅子の輝き、装飾の美しさ。
壁一面のかなり大きな絵で、ものすごい存在感。
いつまでも見ていたい気分。大好き。
・・・ほとんど夢のよう。まるでやわらかな光に満たされ、すべてが完全になり、ときがとまったかのような情景に入り込んだように感じます・・・
イヤホンガイドのこの解説と、目の前の「真夏」
唯、美しく。
この美術展のキャッチフレーズそのものでした。
最後に・・・また買っちゃいました。
図録はがまんしたのですが、本を2冊
ウォーターハウスの本とラファエル前派の本
また本棚が重くなる~~!!