記事にするのが遅くなってしまいましたが、「ラファエロ展」に行って来ました。その日は東京国立博物館「大神社展」とはしごをしたので、フラフラした足取りで国立西洋美術館へたどり着きました。
ラファエロ・サンツィオは、レオナド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並びイタリア・ルネサンスの3大巨匠と言われています。
レオナルドやミケランジェロと違い、37歳という若さで生涯を閉じています。
優しい聖母子像を多く描き「聖母子の画家」とも言われています。
今回の目玉は、フィレンツェ・パラティーナ美術館所蔵の「大公の聖母」です。トスカーナ大公・フェルディナンド3世がこの絵を愛し、亡命中も離さずに大切にしていたことからこの名がついたそうです。黒い背景に浮かび上がる母と子。聖母マリアの慈愛に満ちた優しいまなざしと幼子イエス。母の胸に手を置き幼いしぐさを見せていてもその目はしっかりと一点をみつめ、これからの受難を見据えているかのようです。
近年の調査で、元は背景には窓や風景が描かれていて、後に黒く塗りつぶされていたことが分かったそうです。
でも、背景が黒いため聖母子が背景に溶けて浮かび上がり、この絵を幻想的なものにしていると思います。
「ラファエロ展」には23点のラファエロ作品が展示されていましたが、「大公の聖母」とともに心に残った作品が「エゼキエルの幻視」です。縦40センチほどの小さい絵です。
捕虜としてバビロンに連れて行かれたエゼキエルが、ケバル川のほとりで見た幻想を描いています。
その幻視とは・・・
雲を割って四つの動物を従えた神が現れた。神は四枚の翼を持つ、ライオン、牛、鷲、人間の姿をした乗り物ようなものに乗っていた。
という旧約聖書に基づいています。
左右には天使を従えています。神は両手を広げ、天空は明るく輝き、地上には天からの光が降り注いでいます。雲の中には無数の天使の顔顔顔・・・。
左下には小さくエゼキエルの姿も見えます。
「聖母子の画家」ラファエロの作品にしては、優しさよりも強さを感じる作品です。それにしても、なんという神々しさ。神だから神々しいのは当たり前?じっくり見て通り過ぎたのにもかかわらず、その部屋を出る前にまたこの絵の前に戻って、再度じっくりじっくり見惚れてしまいました。